【商法10】発起人組合、設立後の会社への財産の帰属

今回は、事例で考える会社法事例4を素材に、発起人組合と設立後の会社への財産の帰属について考えてみようと思います。参考判例は、大判S2.7.4です。 事例としては、A・B・Cの三者がD株式会社を設立することを目的として共同し、Bがこれについての権限を委…

【刑訴10】伝聞・非伝聞(伝聞供述)、犯行計画メモ

今回は、事例研究 刑事訴訟法 第4部問題5を素材に伝聞・非伝聞の区別と犯行計画メモの証拠能力について考えてみようと思います。参考判例は、最判S38.10.17と東京高判S58.1.27です。 まず、本事例において証拠能力の有無が問題となっているのは、甲がVを殺…

【憲法10】財産権の規制

今回は、事例研究憲法 問題9を素材に財産権の規制について考えてみようと思います。素材判例は最判H15・4・18です。 まず、この問題を読んだときにはこれまでの事例問題とは異なり、私人間における民事上の請求が問題とされている点に戸惑いを覚えました。…

【刑法10】振り込め詐欺と誤振り込み

今回は、事例から刑法を考える 事例20を素材に、振り込め詐欺と誤振り込みの問題について考えてみようと思います。参考判例は、振り込め詐欺について東京高判H17・12・15で、誤振り込みについては最決H15・3・12です。 まず、本問ではXについての振り込め詐…

宅地建物取引士試験について

今回は日記です。 宅建士試験では、民法・借地借家法・区分所有建物法・不動産登記法・都市計画法・建築基準法・国土利用計画法・宅地造成法・土地計画法・農地法・そしてもちろんのこと宅建業法が出題範囲とされます。 法律系の問題といっても、やはりいつ…

【民訴9】訴えの取り下げ、再訴禁止効

今回は、法学教室2016年7月号 演習民事訴訟法を素材に、訴えの取り下げについて考えてみようと思います。素材となった裁判例は東京地判H19・7・11で、参考判例は最判S52・7・19です。 設問を読んだときは、例えば設問1で、XがYに訴えを提起してYが自己の当事…

【商法9】会計帳簿の閲覧請求、株主名簿の閲覧請求

今回は、事例で考える会社法 事例16を素材に、会計帳簿の閲覧請求と株主名簿の閲覧請求について考えてみようと思います。 今回の問題はそこまで複雑な論点を含むものではないため、平成26年改正のあった部分を含めた条文を確認していきましょう。 会計帳簿の…

【憲法9】営業の自由、委任の範囲を超える規則制定

今回は、事例研究 憲法 第2部問題8を素材に、営業の自由と委任の範囲を超える規則制定について考えてみようと思います。素材判例は最判H25・1・11薬事法施行規則事件です。 今回の事例はもっぱら薬事法施行規則事件を簡略化したもので、この判例自体も平成25…

【刑訴9】別件逮捕と余罪の取調べ

今回は、事例研究 刑事法Ⅱ 刑事訴訟法 第3部問題3を素材に、別件逮捕と余罪の取調べについて考えてみようと思います。参考判例は、最決S52・8・9となりますが、百選掲載のものとして浦和地裁H2・10・12を挙げておきます。 別件逮捕について まず、別件逮捕と…

【民法9】継続的契約の解除、複合契約の解除

今回は、法学教室2016年7月号 演習 民法を素材に、継続的契約の解除と複合契約の解除について考えていこうと思います。参考判例は最判H8.11. 12です。 今回は、法学教室2016年7月号 演習 民法を素材に、継続的契約の解除と複合契約の解除について考えていこ…

【行政法9】規制行政の分類、裁量基準の個別的審査義務

今回は、事例研究 行政法第2部問題11を素材に、規制行政の分類と裁量基準の個別的審査義務について考えてみようと思います。解説内には幾つかの素材判例が挙げられているが、今回のテーマについては福岡地判H3・7・25(控訴審はH4・10・26)のようです。 規…

【刑法9】不正なパチスロ遊戯とメダル窃取の限界

今回は、事例から刑法を考える 事例19を素材に、不正なパチスロ遊戯とメダル窃取の限界について考えてみようと思います。参考判例は、最決H19・4・13と最決H21・6・29になります。 今回のテーマはパチスロ遊戯とメダル窃取という限定的なものですが、そもそ…

【民訴8】既判力の客観的範囲と争点効

今回は、事例演習民事訴訟法 事例16を素材に既判力の客観的範囲と争点効について考えてみようと思います。参考判例は、最判S44・6・24です。 本事例は、前訴においてYがXに対し係争地について所有権に基づく明渡請求を行い、これについてY勝訴判決を得た。し…

【商法8】違法な現物配当と株主の責任

今回は、事例から考える会社法 事例15を素材に違法な現物配当と株主の責任について考えてみようと思います。素材となった判例は不明ですが、百選掲載の裁判例として大阪地判H15・3・5が該当箇所のものです。 今回は、基本的には条文解釈が中心となる問題であ…

【刑訴法8】鑑定に関する問題

今回は、事例研究 刑事法Ⅱ刑事訴訟法 第4部 問題9を素材に、鑑定に関する問題について考えてみようと思います。今回は鑑定という大きなくくりで制度上問題となる点を検討するため、参考判例を中心に確認していこうと思います。 参考判例としては、強制採尿に…

【憲法8】先端科学技術研究と学問の自由

今回は、事例研究憲法 第2部 問題7を素材に先端科学技術研究と学問の自由について考えてみようと思います。 今回は、非常に難しい問題であって、当然ながらこれの素材となった判例もなく、強いて言えばクローン羊ドーリーに関する問題くらいであり、明確な答…

【行政法8】行政行為の撤回と法律の授権、撤回の手続法的検討

今回は事例研究行政法 第1部 問題3を素材に行政行為の撤回と法律の授権について考えてみようと思います。参考判例は最判S63・6・17です。 今回考えてみるのは行政行為の撤回と法律の授権についてですが、今回の事例に含まれている行政法学の基本的な点につい…

【民法8】代理受領と相殺

今回は、事例から民法を考える 事例11を素材に代理受領と相殺について考えてみようと思います。代理受領についての判例は判例百選に掲載がありませんが最判S44・3・4です。 そもそも代理受領とは何か。正直なところ、この事例の解説を読むまでは知らなかった…

【刑法8】クレジットカードの不正使用

今回は、事例から刑法を考える 事例18を素材に、クレジットカードの不正使用と詐欺罪について考えてみようと思います。参考判例は最判H16・2・9です。 まず、本事例については、いつもの通り細かい論点を含んだ事実が多く散りばめられており、これを見逃さず…

【民訴7】書証の証拠力

今回は、事例演習 民事訴訟法 事例10を素材に書証の証拠力について考えていきます。参考判例は最判S39・5・12です。 本事例では、直接的には書証の証拠力が問われているわけではなく、証拠収集手段について、特に文書提出命令およびビデオ会議による証人尋問…

【商法7】買収防衛策としての新株予約権無償割当

今回は、事例で考える会社法 事例14を素材に、買収防衛策としての新株予約権無償割当の問題について考えてみようと思います。参考判例は、ブルドックソース事件(最判h19・8・7)とニッポン放送事件(東京高決H17・3・23)です。 今回の事例では、前半部分で…

【刑訴7】自白法則と違法収集証拠排除法則

今回は、事例研究 刑事法Ⅱ 第4部問題4を素材に、自白法則と違法収集証拠排除法則について考えてみようと思います。参考判例は、東京高判H14・9・4と高輪グリーンマンション事件(最決S59・2・29)です。 自白法則と違法収集証拠排除法則 自白については、憲…

【憲法7】報道の自由、取材の自由

今回は、事例研究 憲法 第2部 問題6を素材に、報道の自由について考えてみようと思います。 今回の事例も、市委員会傍聴を制限したY市委員会条例についての法令違憲、本件不許可処分についての処分違憲、ならびに条例の平等原則違反というXの主張について検…

【民法7】共有物と持分権の主張

今回は、事例から民法を考える事例5を素材に、共有物と持分権の主張について考えてみようと思います。素材判例は、最判S41・5・19です。 今回の事例では、相続財産である甲土地および乙建物が相続によりECDの共有状態となったことが前提となる。さらに、事案…

【行政法7】国家賠償法3条1項の費用負担者

今回は、事例研究 行政法 第1部 問題9を素材に、国家賠償法3条1項の費用負担者について考えてみようと思います。素材判例は、最判S50・11・28です。 国家賠償法3条1項は、同法1条1項及び2条1項の責任を追及する場合に、実際の行為主体と費用等の支出者が異な…

【刑法7】被害者への盗品売却援助と盗品関与罪

今回は、事例から刑法を考える 事例17を素材に、被害者への盗品売却援助と盗品関与罪について考えみようと思います。素材判例は、最決H14・7・1です。 盗品関与罪は、財産犯のうち、領得罪(窃盗罪、強盗罪、詐欺罪、恐喝罪、横領罪)により領得された物を、…

【商法6】株主代表訴訟の対象

今回は、事例研究 民事法Ⅱ 第1部問題6を素材に株主代表訴訟の対象について考えてみようと思います。参考判例は最判H21・3・10です。 本題に入る前に、この事例では大株主Bが株主総会を開催せずに自己を取締役として登記したという事実から、この株主を取締役…

【民訴6】既判力の拡張、反射効

今回は、事例研究 民事法Ⅱ 第1部 問題4を素材に、既判力の拡張、そのうち主に反射効について考えてみようと思います。この問題の反射効についての設問は設問4で、この事例の素材となった判例は最判S51・10・21です。 事例としては、Xが貸金債務の主たる債務…

【憲法6】表現の自由を制限する法令の文面審査

今回は、事例研究 憲法第2部 問題5を素材に、表現の自由を制限する法令の文面審査について考えてみようと思います。素材となる判例はありませんが、徳島市公安条例事件(最大判S50・9・10)、福岡県青少年保護育成条例事件(最大判S60・10・23)、広島市暴走…

【刑訴6】先行手続きの違法と証拠能力

今回は、事例研究刑事法Ⅱ 刑事訴訟法第4部問題3を素材に、先行手続きの違法と証拠能力の問題について考えていこうと思います。参考判例は、最判S53・9・7と、最判S61・4・25および最判H15・2・14です。 今回の事例は非常に典型的という感じがしますが、典型…

【民法6】サブリースと賃料減額請求

今回は、事例から民法を考える 事例16を素材にサブリースと賃料減額請求の問題を考えてみようと思います。 サブリースという契約関係について まず、サブリースという契約類型を理解するために、本事例の事実関係を確認しておきます。本事例では、Aがスポー…

【行政法6】行政事件訴訟の類型

今回は、事例研究 行政法 第2部 問題5を参考にして行政事件訴訟の類型およびそれぞれの訴訟要件を考えてみようと思います。 この問題では、大規模小売店舗立地法とそれに関連する指導要綱に沿ってなされた行政指導にスーパーマーケット出店業者Xが従わずに法…

  【刑法6】共謀共同正犯と正当防衛

今回は事例から刑法を考える 事例16を素材に共謀共同正犯と正当防衛について考えてみたいと思います。参考判例は最決H4・6・5です。 まず、今回の共謀共同正犯と正当防衛という問題がどのようなものかというと、共同正犯における実行者には正当防衛の要件が…

【商法5】利益供与、委任状勧誘

今回は、事例で考える会社法 事例18を素材に会社からの利益供与の問題と委任状勧誘について考えていきたいと思います。 会社法120条の利益供与禁止の規定は、総会屋と呼ばれる者たちへの対策として導入されたものであることは周知のことであろう。もっとも、…

【刑訴5】「場所」を目的とする捜索差押許可状

今回は、法学教室2016年4月号の演習 刑事訴訟法を素材に、「場所」を目的とする捜索差押許可状の執行について考えていきたいと思います。参考判例は、最決H6・9・8と最決H19・2・8です。 まず前提として、捜査機関が捜索差押をする場合には、裁判官の発する…

【憲法5】知る権利

今回は、事例研究 憲法 第2部問題4を素材に知る権利について考えていこうと思います。参考判例は、富山県立美術館事件(天皇コラージュ事件・名古屋高裁金沢支部判H12・2・16)と、最判H17・7・14です。 この問題を読んだときは、論点らしい論点(普段やって…

【民法5】有責配偶者からの離婚請求、財産分与

今回は、事例から民法を考える 問題20を素材に、有責配偶者からの離婚請求の可否と財産分与について考えてみたいと思います。 民法においても親族については論点を考えてみる機会が少なかったので、改めて再確認という感じでやっていきます。 有責配偶者から…

平成28年司法試験短答科目雑感

今回は、平成28年司法試験の短答科目についての雑感をまとめておきたいと思います。 問題はそれぞれ憲法20問・民法36問・刑法20問で配点は50点・75点・50点の合計175点満点、それぞれ40%以下の場合には足切り、合格点は合計114点となっています。 今回は…

【行政法5】執行停止の要件、代表出訴資格

今回は、事例研究 行政法 第2部 問題7を素材に、執行停止の要件と処分の名宛人以外の者の原告適格および代表出訴資格について考えていきたいと思います。 今回の事例では、R社がEから事業停止処分のを受けたことから、右処分の取消訴訟を提起することになる…

【刑法5】監禁罪の保護法益、因果関係における被害者の行為の介入

今回は、事例で考える刑法15を検討していきます。参考判例は、最決S33・3・19、最決H15・7・16および最決S45・7・28である。 今回の事例はシンプルであるが、的確に論点を指摘し、判例および学説に沿って妥当な判断を導くための検討が必要になる。 事例とし…

【商法4】株式の準共有と権利行使

今回は、法学教室2016年5月号 演習商法について考えていきたいと思います。素材判例は最判H27・2・19です。 事例としては、 非公開会社である甲会社の株式は取締役であるAが全株所有していたが、Aが死亡したことでB、C、Dの準共有となった(B、Cは甲会社の従…

【民訴5】平成28年司法試験民事系第3問目

今回は、平成28年司法試験民事系第3問目を検討していきたいと思います。 今回の問題は、例年通り、会話文の中で指定される課題について検討させる形式となっています。設問としては3つだが、会話文に出てくるポイントについて検討を要するため、考えることは…

【民訴4】主張・立証責任を負わない者の行為義務

今回は、法学教室2016年5月号 演習 民事訴訟法を検討していきます。 といっても、今回の問題は演習というより論点研究みたいな感じで、一応事例形式になっているけれど、問題も短く、事実が多くあるわけではないです。 とりあえず、事例としては、手術による…

【刑訴4】X線検査と強制処分

今回は法学教室2016年5月号 演習 刑事訴訟法を検討していきます。素材判例は、最決H21・9・28です。 事案としては、警察官Kらが乙社が合成麻薬を密売している情報を得て内偵を進めた。乙社がA社から荷物を繰り返し受け取っている事実を知ったことからこの中…

【憲法4】信教の自由と教職員の採用

今回は事例研究 憲法 第2部 問題3です。素材判例は日本にはないようで、ドイツで問題となった事案のようである。 事案としては、イスラム教を信仰する日本人女性XがY県の公立中学校で英語教師になるため採用選考を受け、これに受かり採用候補者名簿に登載さ…

【民法4】不法原因給付

今回は法学教室2016年6月号 演習民法です。 今回の問題は、不法原因給付についての定番事例を少しずつ変化させて考えてみるものです。 ①AがBに対して愛人関係の継続のため、甲不動産を贈与した場合 ②AがBに対して愛人関係の継続のため、甲不動産を使用貸借し…

【行政法4】公の施設とその利用関係

今回は法学教室2016年5月号の演習 行政法を検討します。参考判例は、最判H7・3・7と最判H8・3・15です。 事案としては、上尾市福祉会館事件がベースになっていると思われるが、XがC市文化会館の使用許可を指定管理者であるYに申請したところ、Xの公演にD政治…

【刑法4】原因において自由な行為

今回は、事例から刑法を考える 事例14です。 事案は、Xが飲酒後に妻Aを暴行し傷害を負わせ、その後Xが自己に覚せい剤を注射し、急性中毒症状を引き起こした。この隙に逃げようとしたAが鉢合わせた配達業者Yと会話をしているところ、Xが妄想を抱き、出刃包丁…

【商法3】平成28年司法試験民事系2問目

今回は、平成28年司法試験民事系2問目を検討していきます。 今回は、設問3つに関連する事実が付いています。まず設問1は、AおよびBが代表取締役を務める甲会社における内紛について、Bは、Aが海外出張中であることを利用しA以外の取締役に対し臨時取締役会を…

【民法3】平成28年司法試験民事系第1問

今回は平成28年司法試験第1問を検討していきたいと思います。 事案は連続するものであるが、設問1と設問2で法律関係は異なる。 まず、設問1に関係する事実としては、Aがその子Cの所有とされている甲土地、乙土地について承諾なく代理人としてEに売却したとい…