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【刑訴1】捜索差押えに伴う写真撮影の適否

今日の問題はTKC論文演習セミナー刑事訴訟法 1です。
設例はおおむね、
恐喝未遂事件の捜索差押令状の執行中にXの居宅で覚せい剤のような白色結晶性粉末を捜査官が発見したので、これを同意なしに写真撮影を行い、これを資料として裁判所に覚せい剤所持に対する捜索差押令状を請求し、この発付を受けて差し押さえたというもの

問われているのは、
1)覚せい剤を押収する他の方法
2)捜索差押中の写真撮影の適否
3)本件写真撮影の適法性
である

捜査だろうが捜索差押だろうが写真撮影は基本的に検証の性質を有するということと令状主義さえ分かっていればなんとか妥当な答えを導けそうな問題なので、考え方はそれでいいとして細かいところをチェックしていきたい


最高裁の立場

とはいえ最高裁の立場くらいは確認しておかなければならない。事案が検証に対する準抗告申立てであることに注意
最決H2.6.27は、捜索差押令状において差押さえる物として記載のない印鑑を写真撮影したことについて、写真撮影が検証の性質を有しこれに対する準抗告が法令上認められていないことから申立を棄却している。もっとも、このような写真撮影が無令状に行われたことについては違法であると判断している。

また、補足意見では日記の内容を逐一記録した場合などの場合に、実質的に差押えがなされたとして準抗告を認める余地を残している。


素材判例の判断

本間の素材となった裁判例では、写真撮影についてこれが覚せい剤に対する差押え令状請求の資料とされたことについて、現行犯逮捕が取り得たのにあえて慎重な手続きを採ったとして、その意図は令状主義から自肯できるとしつつも、刑事続手上の適否を断定的に判断していない。結果として、本件は民事上の損害賠償事件であるため、少なくとも損害はないとしている。

恐喝未遂事件についての捜索差押え令状に基づき、記載のない物の写真撮影であるという主張に対しては、覚せい剤の発見状況を明らかにするにとどまるものとしているが、明確に222条、111条の必要な処分として許されるかは判断していないようである。この書き方からすれば必要な処分として認めているような気がするけども

これについては、速報判例解説の田淵先生はこれら裁判例の不備を指摘し、当該写真撮影の適否は任意捜査の基準で検討すべきとして、最終的には緊急捜索差押えが明文で認められていない代償として令状請求の資料とするための写真撮影は認めるべきであるとしている点が、非常に参考になる。


設例について

以上のように判例をみたが、設例における(1)の問題も上記のように現行犯逮捕が可能である事が当然のように判示されている。自分は答案としては「覚せい剤という確証はいまだないため、任意処分としての予試験をして、覚せい剤であることが判明した段階で現行犯逮捕することができる」としたが、ここまでする必要はないのだろうか。覚せい剤事犯だと予試験をするのが当たり前みたいになってたし、同意なくする場合に任意処分として認められるか、みたいなところが問題になりそうだと思ったけど、蛇足だったのかもしれない

捜索差押令状請求時の手続きとして、知っておいて損ではないと思ったのは、刑事訴訟法規則155条および156条。今回の設例でも覚せい剤事犯をあらわす資料として写真および報告書が添付されたが、根拠となる規定はこれであろう。

最決が準抗告の申立であったことも注意が必要だが、素材判例も違法な捜査による損害の賠償請求としての国家賠償請求訴訟であることに気をつけよう。