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【行政法4】公の施設とその利用関係

行政法

今回は法学教室2016年5月号の演習 行政法を検討します。参考判例は、最判H7・3・7と最判H8・3・15です。

 

事案としては、上尾市福祉会館事件がベースになっていると思われるが、XがC市文化会館の使用許可を指定管理者であるYに申請したところ、Xの公演にD政治団体が反対運動をする状況から見てC市文化会館条例3条1号「公の秩序を…害するおそれ」および同条3号「管理上支障がある」ときに該当するとして不許可処分を行ったというものである。

 

問われているのは

設問1では、本件条例3条1号および3号の趣旨、判断基準

設問2では、Xによる訴訟で争う場合の本件処分の適法性

である。

 

設問1について

まず、公の施設と利用関係について確認する。公の施設については地方自治法244条の2がその設置および管理については条例で定めることとしているから、本問のように独自の条例が制定されたとして問題が設定されることが想定できる。

もっとも、公の施設については、原則として「正当な理由」ない場合に、住民の利用を拒んではならず、不当な差別的取り扱いをしてはならない(244条2項、3項)ことから、この規定と条例と、そしてこの条例の解釈適用が適法かを検討すことになる。

 

そこで、これらの条例の解釈適用における判断基準を考える。公の施設においては、憲法21条1項が保障する集会の自由を実現するための重要なものであり、これが不当に制限されれば集会の自由・表現の自由に対する制約にもなりうる。そうであれば、この公の施設の使用に関しては、厳格な配慮が必要となる。

 

まず、条例3条1号については、その規定の方法が広範であり、上記のように集会の自由・表現の自由を不当に制約するおそれがあるため、違憲の疑いがある。素材判例である平成7年判決の補足違憲においてもこのような指摘がなされているが、多数意見ではこの規定を合憲限定解釈することで配慮をしているとして合憲とした。すなわち、公の秩序を害するとは、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解するとしている。

 

 

次に、条例3条3号については、公の施設の管理者における施設管理権を根拠とすることができるが、不許可の判断要素がこの施設管理権者の主観において予測されるだけではなく、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合に限って不許可とすることができると解すべきである。

※平成7年判決は、集会を行おうとしたグループが過去に違法な実力行使を繰り返し、対立する他のグループと暴力による抗争を続けてきたという客観的事実から、本件集会が開かれた場合に生じる不利益(職員、通行人、付近住民等の生命身体または財産に対する侵害)が生じることが具体的に明らかに予見されるとして、不許可を正当化する理由があったものとしている。

 

ここで、本件では申請者たるX自身にこのような管理上支障が生じる原因があるわけではなく、Xの公演に反対するD政治団体が過去に問題を犯しているという点を考慮するべきである。この点平成8年判決は、他者が紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことができるのは、公の施設の利用関係の性質に照らせば、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合に限られるとしている。

 

つまり、3条3号該当性が認められると言えるためには、このような特別の事情があることが客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される必要がある。

 

設問2について

では、このような事実が本件では認められるか検討する。

 

本件不許可理由には、Dが過去に問題を犯したこと、Dによる抗議活動が行われていること、文化会館周辺に騒音や渋滞などの影響を与えることが挙げられている。

 

しかしながら、Dが過去に問題を犯したときにおいても、警察官により制圧がなされていることから、本件においても、警察の警備により紛争が起こることを未然に防ぐことが可能であると言える。また、政治団体におけるデモや抗議活動を行うことが認められていることからも、これに起因する騒音や渋滞は受忍せざるをえないものであり、これを超える場合には、これを行う者に対して活動の中止命令を発するべきである。

 

従って、本件処分は違法と判断される。

 

 

行政法憲法の問題がクロスオーバーすることは度々あるだろうけど、これをそれぞれの法分野に区別して論じるのは、自分にとってまた苦手なところを発見してしまったようだ。

 

行政法ばかりは苦手意識を持ちたくないところだけれど。