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【民訴5】平成28年司法試験民事系第3問目

民事訴訟法 司法試験

今回は、平成28年司法試験民事系第3問目を検討していきたいと思います。

 

今回の問題は、例年通り、会話文の中で指定される課題について検討させる形式となっています。設問としては3つだが、会話文に出てくるポイントについて検討を要するため、考えることは多くなっている。

 

全体としては一つの事案における紛争であるから、まずはこれを俯瞰する。

 

まず、Xは法人格を有していない団体であるが、権利能力なき社団としての要件を具備していると思われる団体である。そして、このXの唯一の財産である本件不動産について、紛争が生じている。本件不動産はZがAから買い受けたものであり、登記は代表たるZの名義とされていた。その後、本件不動産にはYを抵当権者とする抵当権設定登記がなされており、これはZが子Cの貸金債務の担保に供したことを原因としていた。Xの副会長Bは本件不動産は、Xのために購入したものと考えていたが、Zは自己個人の所有にあるものと主張した。このような経緯から、BはZをXの会長から解任し、自己の会長選任する議案を臨時総会に提出し、これが可決された。

 

ここまでが、各設問の前提となる事実です。この後に続き会話文があり、設問のポイントとなる点が指示されている。

 

 設問1について

 設問1では、BらXの構成員が本件不動産についての総有権確認の訴えを提起する場合の問題について検討するものです。

 

会話文により指示されているポイントは、①Bらが総有権確認の訴えを提起する場合に原則としてその全員が原告とならなければならない理由、②構成員の中に訴訟に反対する者がいた場合の対応策、③訴訟継続後に構成員になったものへの対応(同調するもの、しないもの)です。

 

まず、①の点は、総有権確認の訴えが固有必要的共同訴訟となる理由について説明する必要があります。今回のような総有という権利関係は、各構成員の持分を観念することができない共有状態であることから、総有目的物の管理・処分については原則として全員でこれを行わなければならないことを指摘する必要があると考えました。また、固有必要的共同訴訟とする意味として、紛争の画一的解決ということが挙げられるので、これも合わせて理由とすることができるでしょう。

 

②については、同じ総有状態が生じる入会権について判断した最判H20・7・17を思い浮かべることができれば、訴訟に反対するものも被告とするという対応策が考えることができます。この被告回しが認められる理由として、単に訴訟に反対する者がいるからと言って訴訟が行えないことは妥当ではなく、訴訟をする必要性があること、反対する者も当事者として訴訟に参加することになれば、訴訟の結果についての効果を及ぼしても良いという許容性の面から検討していければよいでしょう。

 

③はまず、訴訟の提起に同調する者は、共同訴訟参加(52条)が可能であるかを検討する必要があります。これを肯定する理由としては、当事者適格が口頭弁論終結時に充足することで足りること、そもそも新たに構成員となるものを当初から当事者とすることは不可能であることを考えたいところです。判例では、固有必要的共同訴訟の当事者漏れの瑕疵の治癒方法として共同訴訟参加を採ったものもあるようです。

次に、同調しない者に対しては、訴えの主観的追加的併合の可否が問題となります。これは、なかなか難しい視点でした。これについては、認めない判例最判S62・7・17)によれば、Bとしては、新訴提起と弁論の併合という方法が考えられます。

 

 

設問2について

設問2にでは、XからYZに対して本件不動産の総有権確認の訴え、Yに対して抵当権設定登記の抹消請求の訴え、Zに対してBへの所有権移転登記手続請求の訴えが提起されたところで、ZからXへのZの解任決議が無効であること、及びZがXの会長の地位にあることの確認の訴えを反訴により提起するという状況である。ここで、Z側の訴訟代理人としてZが提起する確認の訴えの訴えの利益が認められる理由と反訴の要件の検討が求められています。

 

ここで、会話文に引用されている判例では、訴訟代理人の代理権の存否の確認を求める訴えが不適法とされたことが示されています。この判例が本件Zからの確認訴訟にも及ぶかを考える必要があります。この問題であげられている判例の引用は、どれも唐突に示されているように思え、これを誘導として利用することに難しさの理由があるように感じました。

 

ここは、冷静になって訴訟代理人の代理権の存否に確認の利益が認められるかを考えてみるしかないと思います。つまり、乙が訴訟代理人を務める甲丙間の訴訟について、別訴で丙が乙に対して、甲との訴訟における訴訟代理権の欠缺の確認の訴えを提起したというケースでは、別訴における訴訟代理権欠缺の確認がなされても甲丙間の訴訟においては何らの効果も生じないし、これは甲丙間の訴訟内において争うべきものであるから、確認の利益のうち、方法選択の適否の観点から、否定されたものと考えられる(判例は確認の利益のうちどれを否定したかは明示されていない)。そうであれば、Zが反訴においてXの会長の地位にあることの確認を求める訴えが認められれば、X及びそのこうせいいんにたいしてもこの効力が及ぶことになるし、Bの代表権も否定されることから、本件紛争の抜本的解決に資すると言えるとして、訴えの利益が認められるということを述べます。

 

また、反訴の要件は146条1項を読み、本訴の目的である請求又は防御方法と関連すること、著しく訴訟手続を遅延させないことを述べればよいと思います。

 

設問3について

設問3では、Xによる請求が認められる、Yの有していた本件不動産に対する抵当権も消滅してしまったことから、YがZに対して、債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟を提起したところです。

そこで、Zは本件不動産はAから自分が買い、Yと抵当権設定契約をした時には、自己所有であり、抵当権設定登記もしたため債務不履行はない旨の主張をした。これに対しYは、Xの訴訟により総有が確認されたのであるから、Zが自己所有を主張して責任を免れることは認められない、との主張を行っている。

 

ここで会話文において検討のポイントとされているのは、①前訴判決がXの一員たるZにも及んでいるか、判例は及ぶとしているがこれを援用することが妥当か、②仮に前訴判決の規範力が及ぶとしてYのZに対する訴訟においてどのように影響するか、③既判力以外の説明でYの主張を根拠づけられないか、この説明をする際に前訴でYが採り得た手段にも触れて検討することである。

 

まず、①については、やはり唐突に引用されている判例の引用されていない事実の部分を考えて、本件事案との差異を検討していく必要があります。この引用されている判例では、当該社団の構成員が全て原告側であったことから、その効力を全員に及ぼすことも認められると考えられます。すなわち、法廷訴訟担当又は任意的訴訟担当の構成によっていると考えられます。しかし、本件では、Zは構成員の一員ながら、対立する相手方当事者であり、この様な場合には、既判力の及ぶ者の範囲を拡張した115条1項2号の趣旨に反するのではないかということ指摘したいと思います。実際、どこまではっきりと結論付ければいいのかは難しいですが、会話文のポイントに対する検討という方式では「問いに答える」という問い自体が曖昧なので、明確な答えがなくとも仕方がないとしか言いようがない気がします。

 

②の点については、既判力の時的限界が事実審の口頭弁論終結時であるという原則に思い至れば、前訴の既判力は事実審の口頭弁論終結時を基準に生じるため、ZのYとの抵当権設定契約当時にZの個人所有であった旨の主張とは抵触しないことになります。

 

 ③の点については、まず、既判力以外の説明という点で、争点効理論と信義則による遮断が思いつきます。つまり、Zの主張する内容は、前訴の理由中の判断と抵触するため、許されないと言いたいということす。争点効自体判例は認めていない理論ですので、これを否定することから始め、信義則による遮断が認められるかを検討する必要があります。もっとも、Yにおいて前訴でZに対し何らかの方法が採り得た場合には、これを認めることが妥当ではないと考えることができるので、Yが前訴において採り得た手段を検討します。ここで検討すべきことは、Yは抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟において、真の所有者たることを主張するZに訴訟告知をして、協力を要請し、敗訴における責任を公平に分担する参加的効力を及ぼすことができれば、そもそもZの主張は防ぐことができたのではないかという点である。または、YがZに別訴(YのZに対する本件不動産の所有権を有する旨の確認を求める訴え?)を提起して弁論を併合することで、画一的な判断を要請し、Zに対しても本件不動産における所有権がなかったことの既判力を及ぼすことができたのではないかという点だと思われます。もっとも、弁論の併合については、裁判所の裁量に委ねられていることから、前者の方法が妥当であり、これが可能であったことから、YのZに対する訴訟においてZの主張を信義則により遮断することは認められないとされる可能性があることを述べたい。

 

 まとめ

 正直に言って、この問題は難しかった。なにより、ヒントとなるはずである会話文から適切な誘導を得ることができなかったところで大きな混乱が生じた。特に、設問3における既判力の問題については、自分の頭で的確な答えをひねり出すことすらできなかったように思う。

 

そもそも、民訴に関しての基本的な知識が足りていないことを痛感した問題でもあった。

 

一から出直すつもりで、力を入れていきたい。