平成28年司法試験短答科目雑感

今回は、平成28年司法試験の短答科目についての雑感をまとめておきたいと思います。

 

問題はそれぞれ憲法20問・民法36問・刑法20問で配点は50点・75点・50点の合計175点満点、それぞれ40%以下の場合には足切り、合格点は合計114点となっています。

 

今回は問題を見るわけではなく、自分で解いてみた雑感をそれぞれまとめておこうと思います。

 

憲法について

 憲法の問題は、消去法の通用しない難しい問題形式でした。人権と統治のどちらからも出題されていましたが、やはり人権については判例理解が基本で、一つの判例について肢で記述の正誤を答えるものもいくつかありました。

 

統治(人権以外の分野)では、その場で記述の論理的整合性を検討させる問題がありましたが、現場で理解することができるかはやはり不安が残りました。冷静になって問題文を精査するしか有りません。また、問題文で指定された見解に即して記述の正誤を問うものもあり、どれも通説的見解であったため、これを知っていれば解くことはできたように思われるが、人権以外の部分の学説の対立に普段目を向けられないため、苦手なところは否めなかった。

 

出題されているものについては、従来から短答頻出と言われていたものがやはりまた繰り返し出題されていました。

 

部分点のつく問題が多数を占めていますので、部分点は必ず取る、さらには全答を増やしていけるよう重要判例については判旨まで精査していくことが重要と感じました。人権以外の部分では、過去問で出題されているところは繰り返し解いていくのが得策かと感じました。

 

試験時間との関係では、問題数や消去法を使わないことから余裕を作ることができるように思えます。なので、現場思考型の肢については、1度目でわからなくても再度挑戦する必要があるでしょう。

 

民法について

民法は、憲法と刑法と異なり唯一消去法が使える問題形式になっています。その分一つの問題にかかる時間が多くなり、あまり余裕がなくなるのが難しいところでした。

 

出題範囲としては、そもそも広い科目ですから、当然のことですが、総則から相続まで、幅広い問題が出題されていました。問題文で書かれている分野とは実質的に論点が異なるものも肢に含まれていたりするので、縦断的な思考が大事でした。

 

問題の傾向としては、まず感じたのは、やはり条文が大事であるということです。確かに問題文のなかには「判例の趣旨に照らし」という記述があっても、肢がそのまま明文で規定されていることが多数あります。判例については、その数が膨大であり、手をつけることが困難なこともありますが、条文は限られており、その解釈を含めまだ手をつけやすいのは明らかです。普段論点とならないような条文こそやはり短答では必要な知識になってきます。過去に出題されている箇所を重点的に、条文を理解することが確実な得点への近道ではないかと考えます。

 

刑法について

刑法は、昨年度から大きく出題範囲が変わったという印象を受けていましたが、今年も同様の印象を受けましたので、これからは、この流れでいくのでしょう。

 

つまりは、法の適用や執行猶予、自首、刑罰などのこれまで短答知識と言われていた部分についての出題は一切なく、ほとんどが犯罪の分野からの出題となっています。もっとも、学生たちの議論問題は健在でした。ただ聞かれているのは論文でも頻出の重要なところでしたので、すべてを選択することができなくとも答えは出せたように思います。

 

問題の大半は、判例の立場に従って、単純な事例についての犯罪の成否、結論の正誤を答えさせるものでした。つまり、各論的要素が強かったとも感じました。問題形式として消去法が使えるものもありましたが、部分点のつく問題もあり、一つでも多くの肢で正解する必要がありました。

 

刑法の今後の対策としては、各犯罪について数多くの判例を知ること、著名な議論については通説のみならず議論の対立として理解すること、罪数関係についてきちんと理解することと、特別短答についての対策をするというより、日頃の勉強の成果を上げるしかないように思いました。

 

おわりに

今回の短答は、昨年と同レベル、従来と出題傾向も変更がないもののように感じました。

 

故にこれからやっていくことも、過去問を繰り返しチェックすることと、多くの問題を解くことに変わりはなさそうです。

 

私のできとしては、憲法が平均点を下回るという状況なので、より力を入れていく必要があることがわかりました。