【民法6】サブリースと賃料減額請求

今回は、事例から民法を考える 事例16を素材にサブリースと賃料減額請求の問題を考えてみようと思います。 サブリースという契約関係について まず、サブリースという契約類型を理解するために、本事例の事実関係を確認しておきます。本事例では、Aがスポー…

【行政法6】行政事件訴訟の類型

今回は、事例研究 行政法 第2部 問題5を参考にして行政事件訴訟の類型およびそれぞれの訴訟要件を考えてみようと思います。 この問題では、大規模小売店舗立地法とそれに関連する指導要綱に沿ってなされた行政指導にスーパーマーケット出店業者Xが従わずに法…

  【刑法6】共謀共同正犯と正当防衛

今回は事例から刑法を考える 事例16を素材に共謀共同正犯と正当防衛について考えてみたいと思います。参考判例は最決H4・6・5です。 まず、今回の共謀共同正犯と正当防衛という問題がどのようなものかというと、共同正犯における実行者には正当防衛の要件が…

【商法5】利益供与、委任状勧誘

今回は、事例で考える会社法 事例18を素材に会社からの利益供与の問題と委任状勧誘について考えていきたいと思います。 会社法120条の利益供与禁止の規定は、総会屋と呼ばれる者たちへの対策として導入されたものであることは周知のことであろう。もっとも、…

【刑訴5】「場所」を目的とする捜索差押許可状

今回は、法学教室2016年4月号の演習 刑事訴訟法を素材に、「場所」を目的とする捜索差押許可状の執行について考えていきたいと思います。参考判例は、最決H6・9・8と最決H19・2・8です。 まず前提として、捜査機関が捜索差押をする場合には、裁判官の発する…

【憲法5】知る権利

今回は、事例研究 憲法 第2部問題4を素材に知る権利について考えていこうと思います。参考判例は、富山県立美術館事件(天皇コラージュ事件・名古屋高裁金沢支部判H12・2・16)と、最判H17・7・14です。 この問題を読んだときは、論点らしい論点(普段やって…

【民法5】有責配偶者からの離婚請求、財産分与

今回は、事例から民法を考える 問題20を素材に、有責配偶者からの離婚請求の可否と財産分与について考えてみたいと思います。 民法においても親族については論点を考えてみる機会が少なかったので、改めて再確認という感じでやっていきます。 有責配偶者から…

平成28年司法試験短答科目雑感

今回は、平成28年司法試験の短答科目についての雑感をまとめておきたいと思います。 問題はそれぞれ憲法20問・民法36問・刑法20問で配点は50点・75点・50点の合計175点満点、それぞれ40%以下の場合には足切り、合格点は合計114点となっています。 今回は…

【行政法5】執行停止の要件、代表出訴資格

今回は、事例研究 行政法 第2部 問題7を素材に、執行停止の要件と処分の名宛人以外の者の原告適格および代表出訴資格について考えていきたいと思います。 今回の事例では、R社がEから事業停止処分のを受けたことから、右処分の取消訴訟を提起することになる…

【刑法5】監禁罪の保護法益、因果関係における被害者の行為の介入

今回は、事例で考える刑法15を検討していきます。参考判例は、最決S33・3・19、最決H15・7・16および最決S45・7・28である。 今回の事例はシンプルであるが、的確に論点を指摘し、判例および学説に沿って妥当な判断を導くための検討が必要になる。 事例とし…

【商法4】株式の準共有と権利行使

今回は、法学教室2016年5月号 演習商法について考えていきたいと思います。素材判例は最判H27・2・19です。 事例としては、 非公開会社である甲会社の株式は取締役であるAが全株所有していたが、Aが死亡したことでB、C、Dの準共有となった(B、Cは甲会社の従…

【民訴5】平成28年司法試験民事系第3問目

今回は、平成28年司法試験民事系第3問目を検討していきたいと思います。 今回の問題は、例年通り、会話文の中で指定される課題について検討させる形式となっています。設問としては3つだが、会話文に出てくるポイントについて検討を要するため、考えることは…

【民訴4】主張・立証責任を負わない者の行為義務

今回は、法学教室2016年5月号 演習 民事訴訟法を検討していきます。 といっても、今回の問題は演習というより論点研究みたいな感じで、一応事例形式になっているけれど、問題も短く、事実が多くあるわけではないです。 とりあえず、事例としては、手術による…

【刑訴4】X線検査と強制処分

今回は法学教室2016年5月号 演習 刑事訴訟法を検討していきます。素材判例は、最決H21・9・28です。 事案としては、警察官Kらが乙社が合成麻薬を密売している情報を得て内偵を進めた。乙社がA社から荷物を繰り返し受け取っている事実を知ったことからこの中…

【憲法4】信教の自由と教職員の採用

今回は事例研究 憲法 第2部 問題3です。素材判例は日本にはないようで、ドイツで問題となった事案のようである。 事案としては、イスラム教を信仰する日本人女性XがY県の公立中学校で英語教師になるため採用選考を受け、これに受かり採用候補者名簿に登載さ…

【民法4】不法原因給付

今回は法学教室2016年6月号 演習民法です。 今回の問題は、不法原因給付についての定番事例を少しずつ変化させて考えてみるものです。 ①AがBに対して愛人関係の継続のため、甲不動産を贈与した場合 ②AがBに対して愛人関係の継続のため、甲不動産を使用貸借し…

【行政法4】公の施設とその利用関係

今回は法学教室2016年5月号の演習 行政法を検討します。参考判例は、最判H7・3・7と最判H8・3・15です。 事案としては、上尾市福祉会館事件がベースになっていると思われるが、XがC市文化会館の使用許可を指定管理者であるYに申請したところ、Xの公演にD政治…

【刑法4】原因において自由な行為

今回は、事例から刑法を考える 事例14です。 事案は、Xが飲酒後に妻Aを暴行し傷害を負わせ、その後Xが自己に覚せい剤を注射し、急性中毒症状を引き起こした。この隙に逃げようとしたAが鉢合わせた配達業者Yと会話をしているところ、Xが妄想を抱き、出刃包丁…

【商法3】平成28年司法試験民事系2問目

今回は、平成28年司法試験民事系2問目を検討していきます。 今回は、設問3つに関連する事実が付いています。まず設問1は、AおよびBが代表取締役を務める甲会社における内紛について、Bは、Aが海外出張中であることを利用しA以外の取締役に対し臨時取締役会を…

【民法3】平成28年司法試験民事系第1問

今回は平成28年司法試験第1問を検討していきたいと思います。 事案は連続するものであるが、設問1と設問2で法律関係は異なる。 まず、設問1に関係する事実としては、Aがその子Cの所有とされている甲土地、乙土地について承諾なく代理人としてEに売却したとい…

【刑訴3】違法な現行犯逮捕と再逮捕

今回は事例研究 刑事法2刑事訴訟法 問題2です。素材判例は東京高判H17・11・16のようです。 事例としては、 設問1ではVが電車内で痴漢にあい、電車内から父親にその状況をメールで伝え、降車後も犯人がつきまとってきていたため駅を出てしばらくのところでA…

【憲法3】平成28年司法試験公法系第1問

今回は平成28年司法試験公法系第1問について検討したいと思います。今回も設問は2つで、設問1においては原告(A付添人として)の性犯罪者継続監視法が違憲である旨の主張について、設問2では原告の主張に対する検察官の反論及び私見について問われている。事…

【行政法3】平成28年司法試験公法系第2問

今回は平成28年司法試験公法系第2問を検討していこうと思います。今回も事例とは別に弁護士らによる会議録および関係法令の抜粋などの資料が添付されています。今回は建築基準法、都市計画法その他の法令、さらには建築基準法における要綱もあり、なかなか添…

【民訴3】将来給付の訴え、敷金返還請求権と不法行為に基づく損害賠償請求

今回は法学教室演習 民事訴訟法2016年6月号です。参考判例はもちろん最大判S56・12・16大阪国際空港事件です。問題としては、大阪国際空港事件を前提として、賃貸借契約継続中に敷金返還請求訴訟を提起できるか(問1)土地不法占有者に対する明渡しまでの賃料…

【刑訴2】平成28年司法試験刑事系2問目

今回は平成28年司法試験刑事系2問目について検討していきます設問は一つの事例に関して4つ出されている事例を概観すると、通報により駆けつけた警察官らが甲につき職務質問を開始し、覚せい剤の使用にっき疑いをもったことから、任意による採尿手続を求めた…

【商法2】株式の併合と少数株主の締め出しと平成26年改正

今回かんがえるのは、法学教室2016年6月号演習 商法です。事案としては、甲株式会社の経営難のため、乙社が第三者割当増資により筆頭株主になり、その後甲社の代表取締役を退任させ、乙社の代表取締役を甲社の代表取締役として、甲社の株式を2000株を1株とす…

【刑法3】平成28年司法試験刑事系1問目

今回は平成28年司法試験刑事系1問目を検討していきたいと思います。やはり実際の試験問題を見ると不安になるけど、「2時間で書けるレベルのみ求められている」と自分の心に言い聞かせて、ある意味割り切っていかないといけないと思った。問題の概要まず、問…

【民法2】借地上建物に対する根抵当権と土地賃貸借の関係

今回はTKC論文演習セミナー 民法 問題5です。素材判例は最判H22.9.9です。事案の概要としては、土地を賃借したAが借地上に宅地を立てこれにつきC銀行が根抵当権を設定したというものにおいて、Cが賃貸人たるBに対して「賃料の不払い等により賃貸借を解除する…

【行政法2】建築確認取消訴訟における原告適格と違法性の承継

今回はTKC論文演習セミナー 行政法 問題2です。素材判例は、最判H21・12・17です。もっとも、原告適格については、最判H14・1・22を参考とのこと。事例の概要としては、建築確認を行う前には県知事による安全認定を受ける必要があったところ、これを受けて建…

【憲法2】積極的差別解消措置と法の下の平等

今回は事例研究 憲法 第2部 問題1です。素材となっている国内の判例はないようである。事例としては、Y県で、女性の社会進出を進める政策の一環として、公立学校における条例が制定され、これと教頭の採用候補者選考試験における合否が関連んされる問題であ…