2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【刑法7】被害者への盗品売却援助と盗品関与罪

今回は、事例から刑法を考える 事例17を素材に、被害者への盗品売却援助と盗品関与罪について考えみようと思います。素材判例は、最決H14・7・1です。 盗品関与罪は、財産犯のうち、領得罪(窃盗罪、強盗罪、詐欺罪、恐喝罪、横領罪)により領得された物を、…

【商法6】株主代表訴訟の対象

今回は、事例研究 民事法Ⅱ 第1部問題6を素材に株主代表訴訟の対象について考えてみようと思います。参考判例は最判H21・3・10です。 本題に入る前に、この事例では大株主Bが株主総会を開催せずに自己を取締役として登記したという事実から、この株主を取締役…

【民訴6】既判力の拡張、反射効

今回は、事例研究 民事法Ⅱ 第1部 問題4を素材に、既判力の拡張、そのうち主に反射効について考えてみようと思います。この問題の反射効についての設問は設問4で、この事例の素材となった判例は最判S51・10・21です。 事例としては、Xが貸金債務の主たる債務…

【憲法6】表現の自由を制限する法令の文面審査

今回は、事例研究 憲法第2部 問題5を素材に、表現の自由を制限する法令の文面審査について考えてみようと思います。素材となる判例はありませんが、徳島市公安条例事件(最大判S50・9・10)、福岡県青少年保護育成条例事件(最大判S60・10・23)、広島市暴走…

【刑訴6】先行手続きの違法と証拠能力

今回は、事例研究刑事法Ⅱ 刑事訴訟法第4部問題3を素材に、先行手続きの違法と証拠能力の問題について考えていこうと思います。参考判例は、最判S53・9・7と、最判S61・4・25および最判H15・2・14です。 今回の事例は非常に典型的という感じがしますが、典型…

【民法6】サブリースと賃料減額請求

今回は、事例から民法を考える 事例16を素材にサブリースと賃料減額請求の問題を考えてみようと思います。 サブリースという契約関係について まず、サブリースという契約類型を理解するために、本事例の事実関係を確認しておきます。本事例では、Aがスポー…

【行政法6】行政事件訴訟の類型

今回は、事例研究 行政法 第2部 問題5を参考にして行政事件訴訟の類型およびそれぞれの訴訟要件を考えてみようと思います。 この問題では、大規模小売店舗立地法とそれに関連する指導要綱に沿ってなされた行政指導にスーパーマーケット出店業者Xが従わずに法…

  【刑法6】共謀共同正犯と正当防衛

今回は事例から刑法を考える 事例16を素材に共謀共同正犯と正当防衛について考えてみたいと思います。参考判例は最決H4・6・5です。 まず、今回の共謀共同正犯と正当防衛という問題がどのようなものかというと、共同正犯における実行者には正当防衛の要件が…

【商法5】利益供与、委任状勧誘

今回は、事例で考える会社法 事例18を素材に会社からの利益供与の問題と委任状勧誘について考えていきたいと思います。 会社法120条の利益供与禁止の規定は、総会屋と呼ばれる者たちへの対策として導入されたものであることは周知のことであろう。もっとも、…

【刑訴5】「場所」を目的とする捜索差押許可状

今回は、法学教室2016年4月号の演習 刑事訴訟法を素材に、「場所」を目的とする捜索差押許可状の執行について考えていきたいと思います。参考判例は、最決H6・9・8と最決H19・2・8です。 まず前提として、捜査機関が捜索差押をする場合には、裁判官の発する…

【憲法5】知る権利

今回は、事例研究 憲法 第2部問題4を素材に知る権利について考えていこうと思います。参考判例は、富山県立美術館事件(天皇コラージュ事件・名古屋高裁金沢支部判H12・2・16)と、最判H17・7・14です。 この問題を読んだときは、論点らしい論点(普段やって…

【民法5】有責配偶者からの離婚請求、財産分与

今回は、事例から民法を考える 問題20を素材に、有責配偶者からの離婚請求の可否と財産分与について考えてみたいと思います。 民法においても親族については論点を考えてみる機会が少なかったので、改めて再確認という感じでやっていきます。 有責配偶者から…

平成28年司法試験短答科目雑感

今回は、平成28年司法試験の短答科目についての雑感をまとめておきたいと思います。 問題はそれぞれ憲法20問・民法36問・刑法20問で配点は50点・75点・50点の合計175点満点、それぞれ40%以下の場合には足切り、合格点は合計114点となっています。 今回は…